猫のフェロモンとは何か?
ボディランゲージから鳴き声まで、あなたの猫は多くのサインやシグナルを使ってコミュニケーションします。人間には感じることができませんが、猫のフェロモンは、最も重要なコミュニケーションの方法の一つです。
フェロモンは、ある種の嗅覚(におい)物質によるコミュニケーションであり、全ての猫が用いて互いにコミュニケーションしたり、周囲をとりまく環境と相互作用したりします。猫の身体の周囲に存在する特別な腺から“メッセージ”が放出され、あらゆる品種の猫が、様々なフェロモンを作ります。異なるフェロモンが、他の猫に対して異なる“メッセージ”を送り、それらの猫の行動に影響を及ぼします。猫の年齢に関係なく、全ての猫が、このようなフェロモンシグナルを理解します。
猫には、フェロモンを放出する様々な臭腺がたくさんあります。分泌する腺は、顔の周り、あご、下耳、額、頬、口の周りに多くが集中しています。ペットの肉球や雌猫の乳房の周囲にも分泌腺があり、尿にもフェロモンが含まれています。
フェロモンによるメッセージを共有または伝達するため、猫は様々な行動をとります。例えば猫が以下のような行動をとったことをご覧になったと思います:
- 家の周りの物体に頭をこすりつける。
- 物をひっかいたり爪を立てたりする
- 他の猫(あるいはあなたに向かって)頭をぶつける
- 物体や物の表面に身体をなすりつける。
- なわばりにマーキング(放尿)する。
あなたの猫には、よくひっかく場所がありますか?特に仲の良い他の猫や、家族がいますか?これらは全て、フェロモンによって送られたメッセージによるものなのです!
猫とフェロモンについて理解する
猫が発する猫フェイシャルフェロモンには、最大で40種もの化学物質が含まれていることをご存知でしたか?猫は、それぞれの化学物質が意味するものを正確に知ることができるでしょう。猫とフェロモンの関係は複雑です!
それなら、異なるフェロモンメッセージが何を伝えているのかを猫はどのようにして理解するのでしょうか?
全ての猫は鋤鼻器(じょびき)と呼ばれる特別な器官を使って、環境中に存在するフェロモンメッセージを認識します。鋤鼻器(じょびき)とは口の天井部にあります。フェロモンを検出する際には、猫は口をわずかに開き、唇を引きあげ(フレーメン反応として知られているもの)、息を吸います。
猫の口の天井部にある切歯乳頭を通じてフェロモンメッセージが鋤鼻器(じょびき)とに入ります(その後、切歯管を通じて感覚ニューロンにそしてフェロモン検出器に)。この切歯乳頭をあなたは見たことがあるかもしれません。口の天井部の歯のすぐ後ろにある小さな‘隆起’のように見えます。
猫が静止して、不思議な表情をしているように見えた経験がおありであれば、これらの特別なメッセージを検出しているところを見たことになるでしょう。
匂いと同様に、フェロモンの‘吸い込みすぎ’で猫に危険が及ぶことはなく、フェロモンをベースにした製品でも同様です。フェロモンは薬ではなく、身体に影響を及ぼすことはありません。猫にメッセージを伝えているだけです!同じように、人間や他の動物は猫のフェロモンの影響を受けませんし、検出することもできません。無臭であり、飼い主様になんら作用することはありません。
猫にとってフェロモンはどのように作用するの?
フェロモンは、多くの様々な猫の行動や相互作用、感情に影響を及ぼします。それならフェロモンは猫にどのように作用するのでしょうか?
猫は、様々な異なる理由でフェロモンを放出します。フェロモンは以下の目的で使われています:
- なわばりのマーキング
- 他の猫を特定し知ること
- 親しみやすさを形成すること
- 絆を深めること
- 性的パートナーにメッセージを伝えること
- 母猫と子猫が絆を作り、相互に特定し、調和的であるよう助けること
- 自己沈静化
- 幸福や満足、安心を伝えること
- ストレスや恐怖を伝えること
つまり、猫が放出するフェロモンは、状況に応じて異なっていることを意味します。例えば、あなたのペットが新しい物体に遭遇して、害のないものと判断した場合には、その物体に体をこすりつけて、“これは安全なもの”とか、‘これは調べ済み’というメッセージを残すことになるでしょう。
留意しておいていただきたい重要なことは、猫のフェロモンは、自然に猫のコミュニケーションで使われる一部です。ですから、猫が、別の猫のフェロモンや合成フェロモンに触れたたとしても、いつでも安全な ‘猫のメッセージ’ であり副作用はありません。猫にある種のシグナルを伝えているだけです。
雄猫のフェロモンを理解する
全ての猫がフェロモンを放出しますが、特に雄猫のフェロモンはユニークなメッセージを示すことができます。
猫の後部(しばしば尿中に)から放出されるフェロモンは雄と雌に共通して用いられるものであり、なわばりメッセージのコミュニケーションを行ったり、性的能力を示したり、ストレスや恐怖の感情を表明するのに使われています。このため、雄猫も雌猫も、尿でマーキングを行うのです;しかし、マーキングは去勢手術を受けていない雄猫により多く見られており、同じ雄の他の猫に競合メッセージを送ります。雄猫の尿は匂いが強いでしょう。雄猫の尿にはアミノ酸が含まれており、マーキングに特徴的な匂いをもたらしています。
他の猫がマーキングを嗅ぐと、含まれているフェロモンを使って、誰が近くにいるか(どれほど前であったか)、猫の性別、性的能力、なわばり、場所、順位状態に関する情報を獲得することができます。実際、これらのフェロモンマーカーは、猫が紛争を避けるのに役立ちます。順位の低い雄猫は、順位の高い強い雄猫からのなわばりメッセージを認識し、その場を立ち去ることができます。
雄猫は、発情中の雌猫が残したフェロモンマークにも惹かれていきます。雌猫の頬や尿中に排出されることの多い、雌猫のフェロモンは、その雌猫が交尾の準備が整っており、パートナーを探していることを示します。
母猫のフェロモンを理解する
フェロモンは、母猫とその子猫たちの間の調和や絆を確保するのにとても重要な役割を演じています。
母猫のフェロモンは、乳房周囲の分泌腺から乳房領域に分泌されます。アピージングフェロモン(なだめフェロモン)として知られ、このフェロモンは、育てられている子猫に安心感と満足感をもたらし、子猫が一緒に生活できるのを助けます。このフェロモンは、離別してしまった場合に、自らの子猫を母猫が特定するのにも役立ち、より広い文脈で、猫が他の動物を‘親しみ深い’友人としてマーキングするのに役立ちます。
このため、アピージングフェロモンは、猫同士の紛争や緊張を低減させるのに使うことができます。
猫フェイシャルフェロモンとは何か?
猫の顔面は、フェロモンによるメッセージ伝達のハブです。
額や顎、頬、口の周囲や、耳の下部にフェロモンを産生する腺があり、顔面をこすりつけることは、よくあるフェロモンを取り込む行動です。
猫はしばしば、家具や出入り口、さらには人々や他のペットにも顔をこすりつけて、‘安全なもの’あるいは親しみのあるものとしてマーキングします。これは、猫が環境やなわばりにいてハッピーであり、リラックスしており満足していることを示す肯定的なサインです。時間が経つにつれて、この安心感が構築され、猫は、最新のフェロモンで、お気に入りで重要な場所への再マーキングを行います。野良猫もフェイシャルフェロモンを使って、なわばりに侵入する可能性のある他の猫に対してメッセージを送り(木に顔面をこすりつけることなど)、不遇な遭遇をすることを思いとどまらせます。
これらの安全フェイシャルフェロモンがない環境に置かれると、猫は、不快な感覚を感じるようになり、見慣れない物体や場所を驚異とみなすでしょう。ですから、フェリウェイを使うことで、あなたのペットにとって安心させる環境を作るのに寄与することができます。
様々な猫のフェロモンについて理解する:
猫のフェロモンには様々な種類があります。以下の二つのフェロモンは、あなたの猫が日々使っているフェロモンです。
猫フェイシャルフェロモンF3
猫フェイシャルフェロモンF3はコンフォートフェロモンの一種で、猫に環境への安心感をもたらします。フェリウェイは猫のフェイシャルフェロモンを用いて、ハッピーメッセージをお届けします。
Cat Appeasing Pheromones (C.A.P)
Cat Appeasing Pheromonesはアピージングフェロモン(なだめフェロモン)の一種で、調和を確保するために母猫が産生するものであり、子猫が安全と安心感を感じるのに役立ちます。猫同士がうまく付き合うことや、社会的接触や受け入れを強めること、社会的紛争を抑え、逃避反応を抑えることにも役立ちます。